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Sun, Y.*; 箱田 照幸; Chmielewski, A. G.*; 橋本 昭司*
Radiation Physics and Chemistry, 68(5), p.843 - 850, 2003/12
被引用回数:8 パーセンタイル:49.8(Chemistry, Physical)電子ビーム照射による揮発性有機化合物の分解に関する研究の一環として、低水分空気中に含まれたトランス-1,2-ジクロロエチレン(-DCE)の分解について調べた。-DCEや有機性分解生成物をガスクロマトグラフ-FID検出器で分析し、また二酸化炭素及び一酸化炭素濃度を全有機炭素計により測定した。その結果、炭素換算で分解生成物の10%程度が、幾何学異性体のシス-1,2-ジクロロエチレンであることがわかった。また、同ベースガス中に含まれた-DCEと構造異性体の1,1-ジクロロエチレンについて分解率及び分解生成物について化学反応シミュレーション計算を行うことにより、-DCEの分解反応を引き起こす活性種の特定や連鎖分解反応について考察した。
濱原 和弘*; 重光 雅仁*; 乗木 新一郎*; 福山 龍次*; 荒巻 能史; 乙坂 重嘉
沿岸海洋研究, 41(1), p.53 - 60, 2003/08
北海道石狩湾の北緯43度30分、東経141度20分の地点で重力式採泥器を用いて約40cmの柱状試料を採取した。Cs-137法によって堆積速度を0.56cm/yrと求めた。1945年から1981年の間に有機炭素/有機窒素比が20という大きな比を持つ有機物が堆積していた。放射性炭素によれば、当該試料が周辺に対して200-300パーミル低い値を示し、石炭等の放射性炭素を含まない物質の混入をうかがわせた。また、この有機物部分には、鉄,銅,亜鉛そしてクロムが濃縮されていた。1981年以降の堆積物は、有機炭素/有機窒素比は約10-15に減少した。また、微量金属の濃縮も顕著ではなかった。石狩湾の化学環境は1930年以前にもどりつつある。
福本 雅弘; 西川 義朗*; 加川 昭夫; 河村 和廣
JNC TN8400 2001-002, 23 Pages, 2000/12
TRU廃棄物処分研究におけるアスファルト固化体の影響評価の一環として、放射線(線)によるアスファルトの劣化により生成する可溶性有機物の種類と濃度について確認した。また、硝酸塩の影響についても合わせて確認した。その結果、放射線(アスファルトが処分環境で100万年の期間に受ける線の吸収線量に相当する10MGy)によるアスファルトの劣化により生成される可溶性有機物のギ酸、酢酸及びシュウ酸濃度はそれぞれ、約50mg/dm3、約30mg/dm3及び約2mg/dm3とValckeらがEurobitum(ブローンアスファルト、MexphaltR85/40)の放射線分解の劣化生成物の影響をPuとAmを用いた試験により実施し、Boom Clay間隙水中のPuとAm溶解度は増加しなかったと示した時のギ酸、酢酸、シュウ酸の濃度より低濃度の溶出であった。また、硝酸イオンが多量に存在しても、TOC、ギ酸、酢酸、シュウ酸濃度の変化は微量であった。すなわち、放射線により硝酸イオンが亜硝酸イオンとなる過程でアスファルトの酸化的分解を促進することにより、錯体の有機配位子となりうるギ酸、酢酸を溶出させることは少ないといえる。このことから、アスファルト固化体の放射線(線)による劣化により溶出してくる可溶性有機物とTRU核種との錯体形成によるTRU核種の溶解度上昇、TRU核種の分配係数低下は限定的である。
金持 真理子*; 佐藤 治夫; 笹平 朗*
JNC TN8400 99-059, 59 Pages, 1999/10
天然の地下水中に存在する有機酸は、ガラス固化体から漏洩した放射性核種と錯体を形成し溶解度を上昇させることが懸念されている。一方、これまでに報告されている核種と有機物との錯形成は、主に酸性領域で取得されたデータがほとんどであり、処分環境で予測されるような比較的高いpHで測定されたデータは少ない。本研究では、高pH領域において、有機物の共存によってサマリウムの溶解度が影響を受けるかどうかを把握するため、市販のフミン酸(アルドリッチ製)あるいはベントナイト起源の水溶性有機物の共存下におけるサマリウムの溶解度変化を実験と熱力学計算を併用して検討した。その結果、液相中で共存するフミン酸の濃度が高いと見かけ上サマリウムの溶解度も高くなる傾向が認められた。しかし、熱力学計算では炭酸イオンが共存する系では炭酸錯体が支配的化学種となり、フミン酸の効果は炭酸と比較して小さいことが示された。また、全有機炭素濃度を指標として、ベントナイト起源の有機物と市販のフミン酸(アルドリッチ製)の効果を比較すると、ベントナイト起源の有機物の方がサマリウム溶解度に与える影響は小さかった。ベントナイト起源の有機物の中には、錯形成の安定度定数の小さい単純な有機物も含まれていたため、フミン酸と比較して効果が小さかったものと考えられる。更に、主として酸性領域で取得されたデータに基づいて提案されている、既存の有機物錯体モデルとの比較を行った。Kimにより提案された、イオンの価数と同数のサイトを1ユニットとして電荷が中和される1対1錯体の形成を前提に、フミン酸による溶解度上昇を試算した。その結果、フミン酸錯体よりも炭酸錯体の方が支配的となり、熱力学計算結果を支持したが、フミン酸の解離度の影響が明確になっておらず、Loading Capacityによるフミン酸濃度の規格化の有効性を確認できなかった。サマリウムと有機物との錯体の濃度を測定するため、紫外吸収法の適用を試みた。しかし、フミン酸の強い吸収が錯体の吸収帯と重なっていたため、錯体濃度を評価するに至らなかった。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 富岡 祐一*; 田中 靖治*; 濱 克宏; 岩月 輝希
no journal, ,
電力中央研究所と日本原子力研究開発機構の共同研究の一環として、地下水の年代測定を行う手法の開発を実施した。地下水中に存在する放射性同位体のうち、有機炭素中の炭素-14に着目し、この同位体を利用して年代測定を試みた。その結果、これまでに実施した地下水中のヘリウム-4を利用した年代測定結果と整合することを確認した。このことから、有機炭素中の炭素-14を利用した年代測定法の有効性を示すことができた。
Jeon, H.; 小川 浩史*; 乙坂 重嘉
no journal, ,
海水中の溶存有機炭素が持つ放射性炭素(DOC)の濃度は、海洋における有機炭素の起源、滞留時間、輸送経路を議論する際の指標となることが知られている。発表者らは、中央太平洋における海水中のDOC濃度の南北断面から、大洋レベルでの有機物循環を明らかにすることを目的として研究を進めている。海水中のDOC濃度分析には、試料にUVを照射し、試料中の有機物の全量を酸化分解した後、生成した二酸化炭素中の炭素同位体比を加速器質量分析装置で計測する手法が用いられている。しかしながら、この酸化分解には、高温を発生する大型の装置を必要とすることや、その手順が煩雑なことなどから、DOCの濃度の報告例は限られている。本研究の第一段階として、発表者らは、低圧水銀ランプと酸化触媒を組み合わせ、試料を低温に維持したまま、高い効率で溶存有機物を酸化させる手法を開発することとした。本講演では、これまでに太平洋で得ているDOC分布の計測結果を概観し、DOCの分布を決定する生物学的・非生物学的過程について議論するとともに、DOC分析法の改良点について報告する。